数の比較にはなりませんが、複数を相手にするゲームに将棋で多面指しというのがあります。1度に何人も相手にします。例えば1人で30人を相手にする場合、サッと盤面を見て一手指し、ロの字型のテーブルを順に回っている間にそれぞれの対局者が次の手を指しておきます。
地域のイベントでプロ棋士を招いて行われたりします。楽しみながらではありますが、駒落ちのハンディ付きであってもプロほとんど負けないようです。さしずめそれは、昔ながらの言葉で言えば分身の術を使い、今の時代ならデジタルコピーとなって、仮に力の分散や低下があったとしても、何ら勝利するに支障無しといったところでしょうか。
しかし参加者からすれば、1対1のガチの勝負に違いありません。
阿弥陀仏の本願で例えて言うと、デジタルコピー化された阿弥陀仏(申し訳ありません、、)が十方世界のあらゆる人のところに出向いて、将棋盤を挟んで対座し対局を願い出ている、といったところでしょうか。 必ず勝ってみせる。
この申し出に気付いたならば、やがて受けて立つことになりましょう。いや、受けざるを得ない程の強い願力が及んでいるのでありました。向きが正面に変わる。
それぞれの1対1の勝負の始まりです。
そうして念仏申す身に救われたならば(将棋で言えば負かされたならば)、残りの人生、必ず仏に成る道を安心して歩ませて頂くことができるのでした。
十方微塵世界の
念仏の衆生をみそなはし
摂取してすてざれば
阿弥陀となづけたてまつる
(浄土和讃)